任天堂の新型ビデオゲーム機「Nintendo Switch」の世界同時発売にアカマイが貢献。

ビデオゲーム機の新しい遊び方を提案した「Nintendo Switch」。任天堂がその配信パ−トナーに選んだのはアカマイでした。「Wii」の時から利用しているアカマイのソリューションやサポート力の実績だけでなく、今回初めて採用した機能においてもアカマイは優れており、安心して配信できました。

高田善規氏 , 技術開発本部 ネットワークシステム部 ネットワークインフラ開発グループ , 任天堂株式会社

概要

1889年(明治22年)に創業した任天堂。当初は、花札やトランプ、かるたを中心とした業容であったが、近年は業務用から家庭用まで幅広くゲーム機やゲームソフト、周辺機器を展開、家庭用ゲーム機では「ファミリーコンピュータ」に続き「スーパーファミコン」もヒットし、『スーパーマリオブラザーズ』を初めとする多様なIPシリーズを擁して世界的に有名なゲーム会社としてその地位を確立した。その後も「ニンテンドー ゲームキューブ」や「Wii」などのヒット商品を発売、2017年3月3日には「Nintendo Switch」を発売した。家庭で楽しむ据え置き型ゲームと、外出先では携帯ゲーム機のように遊べる2つの娯楽体験を「スイッチ」できるスタイルにちなんだネーミングであるこのゲーム機も人気を博し、全世界累計で1,486万台の販売数を記録した。(2017年12月末時点)

「Nintendo Switch」は「TVモード」の他にも、ドックからNintendo Switchを取り外した「テーブルモード」「携帯モード」の3通りの楽しみ方で、屋内と屋外をスイッチして遊べることが最大の特徴だ。また、インターネット経由で「ニンテンドーeショップ」を利用したゲームソフトのダウンロードや、本体の更新などに対応している。そして、これらの配信にアカマイを活用している。

ネットワークシステム部は、「ニンテンドー3DS」や「Wii U」、「Nintendo Switch」といったゲームコンソール事業の中で、ネットワークシステムを担当する部門だ。高田氏はネットワークに関する深い知識をベースに、ゲームコンソールとサーバーを繋ぐネットワークの課題を解決することを主に担当している。

「Dynamic Site Delivery」をニンテンドーeショップや本体更新に採用

ネットワーク開発は、新しいゲーム機のハードウェア開発との同時並行ということもあり、実機での検証が行いにくい中で、公表された2017年3月3日のリリースに間に合わせるため、アカマイとは日々入念な確認と準備を行った。任天堂は配信ソリューションに「Dynamic Site Delivery」(以下、DSD)の採用を決定した。

「幅広い世代の方に楽しんでいただくためには、安定したネットワークが必須となります。ゲームソフトや本体更新など、サイズの大きいデータをダウンロードする他、『Nintendo Switch』ではニンテンドーeショップに表示される画像等の小さなオブジェクトの配信もあります。CDN事業のパートナーを検討する際に、アカマイが様々なタイプのトラフィックを世界の人々に安定して安全に配信することができることは知っていましたし、また各配信の要件を満たせる設定の自由度もあるので、配信パートナーとして最適だと考えていました」(高田氏)。

ビジネスロジックをアカマイエッジサーバーで処理

任天堂社内で、Nintendo Switchの開発が進むにつれ、ネットワーク機能に対する要件も追加、変更されていった。アカマイに相談すると、意外にも簡単に要件を満たす提案が返ってきたという。アカマイには顧客側で利用可能な設定のオプションが豊富にあるだけでなく、アカマイ社内のレビューを行うことで利用可能な各種のアドバンスト機能を用意している。また、クライアントからのリクエストやオリジンサーバーからのレスポンスの情報を一時的に格納して、評価に利用できるProperty Variable機能を活用して、CDNの設定を柔軟に制御することができる。これらの機能を活用して、ビジネスロジックをアカマイにオフロードさせた。スケーラブルなソリューションを得られただけではなく、開発コストの削減と運用の軽減も実現できた。

「世界中のお客様からアクセスがあるため、スケーラブルな環境で処理したいモチベーションがありました。Nintendo Switchの要件についてアカマイの担当エンジニアとディスカッションを進めていく中で、クライアントからのリクエストの情報をProperty Variableに格納、加工して処理を分岐したり、複数のアドバンスト設定を活用したりするご提案を頂きました。現在サーバーの一部の機能はアカマイのCDN上で実装されています。これにより任天堂側の負荷やコストも大きく削減できました」(高田氏)。

「Cloud Monitor」でリアルタイムに配信状況をモニター

任天堂では、「DSD」とあわせてクラウドベースのプッシュ型リアルタイム API サービス「Cloud Monitor」を導入している。「Cloud Monitor API」のフィードは、標準のネットワーク・レポーティング・ツールや分析ツールと統合が可能で、マーケティング分析にも応用できる。「Cloud Monitor」の導入により、独自に構築していたログ収集用システムが不要になり、作業負荷やコストを大幅に改善できたという。

「以前はログを収集するサーバーを自前で構築、運用していたのですが、どうしてもログの収集に時間がかかっていました。「Cloud Monitor」を採用したことで、リアルタイムにログを確認でき、状況を素早く把握することができるようになりました。ログ収集サーバーをマネージドに切り替えた形になりますので、そこでの運用負荷が削減できました」(高田氏)。

また「Cloud Monitor」でもアドバンスト機を活用しているという。「オリジンサーバー側で配信コンテンツを複数のタグで管理しており、Cloud Monitorが配信するデータにタグの値を入れることができると、非常に分析しやすくなると考えていました。オリジンのレスポンスヘッダーにタグの値を含めるようにした上で、CDNにキャッシュがなくオリジンへ問い合わせた場合はもちろん、CDNにキャッシュされている場合でもこのタグの値をCloud Monitorが応答するようなアドバンスト設定を実装して頂きました。すべてのリクエストに対してタグ情報が付与されており、フレキシブルにデータを取れているという感触がありますので、今後はもう少しいろいろな範囲で活用したいと考えています」(高田氏)。

アカマイの多岐にわたるソリューションを活用、すべての人を笑顔に

現在、さまざまなログデータをビッグデータとしてビジネスに活用する流れができつつあるが、「DSD」と「Cloud Monitor」により新たな展開も見えてきたと高田氏はいう。「ログ収集がリアルタイムになったことで、ビジネス側、マーケティング側にログを提供することで、別の施策ができるかもしれません。具体的にはまだ検討中ですが、これまでログの収集、集計に丸二日かかっていたのが非常に高速化されたので、ビジネスに活かす価値が出てきたといえます」(高田氏)。

アカマイへの要望については、「今回、Property Variablesやアドバンストの機能を活用したり、配信設定をテンプレートとしてクローンを作成する手法を検討したりなど、いろいろと新しい取り組みを行いました。配信設定の管理を更に改善したいと考えていますので、Akamai for DevOpsにおける各種ツールやプラグインへの対応に期待しています。アカマイはCDN専業として長い歴史の中で、工夫された様々な機能が追加されていることが分かりました。任天堂でも以前からアカマイと仕事をしてきましたが、今回、一歩も二歩も踏み込んで活用し相談させていただいたことで、多岐にわたるソリューションが用意されていることを知りました」と、高田氏は締めくくった。

「任天堂では、お子様から年配の方まで、商品やサービスを通じて笑顔にするようなエンターテインメントのご提供を目指しています。最近では『任天堂IP(知的財産)に触れる人口を拡大する』ことに注力していて、『Super Mario Run』に代表されるスマートデバイス向けゲームも展開していますが、そこでのゲーム体験やキャラクターとの接触から、『Nintendo Switch』などの商品やサービスに繋げることで、関わるすべての人を笑顔にしていきたいと考えています」と語った。