API、Webhook、WebSocket の違い

API、Webhook、WebSocket にはいくつかの違いがあります。API は CRUD(作成/読み取り/更新/削除)操作に適しており、迅速な応答を実現します。一方、Webhook はポーリングなしでリアルタイムの更新を提供し、イベントドリブン型のインタラクションを可能にします。WebSocket は継続的な双方向通信チャネルであり、リアルタイム通信に最適です。カスタマイズされた高速のインタラクションには API、即時更新には Webhook、継続的な双方向通信には WebSocket を選択するとよいでしょう。

アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)、Webhook、WebSocket はどのように区別されるのでしょうか?それぞれが、Web アプリケーションのクライアントとサーバー間、または情報システム内の他の要素間でデータ交換を行います。しかし、アーキテクチャや機能が異なり、完全に別物です。そして、それぞれに最適なユースケースがあります。

API とは

API は、2 つ以上のソフトウェアプログラム間のソフトウェアインターフェースです。アプリケーションがオペレーティングシステム、アプリケーション、その他のサービスの機能やデータにアクセスできるようにする一連の機能や手順を指します。API にはさまざまな種類がありますが、現在 API について話すときは必ず、XML または JSON を使用し、HTTP プロトコルを介してデータを転送する API を指します。

API は、作成/読み取り/更新/削除(CRUD)機能に適しています。例えば、ユーザーの投資口座残高を必要とするモバイル・バンキング・アプリケーションは、投資会社が提供する API を呼び出します。これを機能させるために、API には、API 利用者と API の間の接続を司るルールを含む契約が含まれます。

Webhook とは

Webhook は、Web ベースのアプリケーション間におけるイベントドリブン型のインタラクションを可能にします。従来のクライアント/サーバーの「ポーリング」プロセスでは、新しいデータがあるかどうかをサブジェクトシステムがオブザーバーシステムに「尋ねる」必要がありました。しかし、Webhook では、オブザーバーは事前定義されたイベントの発生時にのみサブジェクトにデータを送信します。これは、ユーザー定義の HTTP コールバックと呼ばれます。例えば、ユーザーがログインして新しいセッションを開始すると、そのイベントによってオブザーバーシステムがサブジェクトにデータを送信するようにトリガーされる場合があります。このプロセスは API の呼び出し/応答のインタラクションとは正反対であるため、Webhook を「リバース API」と呼ぶこともあります。

Webhook は、ポーリングに伴う定期的なチェックを排除します。サブジェクトシステム内の API を指し示す静的 URL を使用して動作します。Webhook は完全にインターネットベースであるため、すべての通信が HTTP を介して行われます。HTTP コールは関連するイベントがある場合にのみ実行されるため、この仕組みによってアプリケーションの負荷が軽減されます。このような理由から、Web アプリがバックエンドを呼び出す必要がある状況には Webhook が適しています。

WebSocket とは

WebSocket は、WebSocket プロトコルに基づいたリアルタイムの永続的な双方向通信チャネルです。この全二重チャネルは、単一の TCP 接続で動作します。WebSocket プロトコルは HTTP とは異なりますが、どちらも標準的な OSI ネットワークスタックのレイヤー 7 で動作します。これにより、Web ブラウザーまたは同等のクライアントが Web サーバーとのインタラクションを行えるようになります。Webhook と同様に、WebSocket はクライアントとサーバー間のインタラクションを実行するための API の要求/応答プロセスを必要としません。

WebSocket では、オープン接続でメッセージがやり取りされます。この仕組みにより、サービスプロバイダーは必要なときにいつでもユーザーにメッセージを送信できます。Firefox、Edge、Safari、Chrome などのよく使用されるブラウザーは、WebSocket プロトコルをサポートしています。このサポートレベルを考慮すると、WebSocket はリアルタイムの Web アプリケーションに非常に適しているといえます。

API、Webhook、WebSocket とリアルタイム通信の統合

リアルタイムの通信を必要とするアプリケーションを開発する際、開発者は API、Webhook、WebSocket のどれを選択するかという課題に直面することがよくあります。WebSocket は永続的な接続を提供し、リアルタイムのデータ転送とインタラクションを可能にするため、ライブチャット、オンラインゲーム、共同ドキュメント編集などのユースケースに最適です。

一方、API と Webhook も、ほぼリアルタイムの更新を必要とするシステムに統合できます。例えば、Rest API を Webhook と組み合わせることで、特定のイベントが発生したときに通知を送信できるようにしつつ、API がユーザーのリクエストに基づいて実際のデータ転送を処理します。

どのような場合に API、Webhook、WebSocket を使用すべきか

API、Webhook、WebSocket には、それぞれ好ましいユースケースがあります。例えば、要求/応答の形式でクライアントとサーバー間のインタラクションを行う API は、バックエンド動作からの迅速な応答を必要とするアプリケーションに適しています。問題は、API がサーバーの要求なしでクライアントと通信するための方法を提供しないことです。

例えば、API がサーバーに時間のかかるタスクの実行を要求する場合、API はサーバーに対してタスクの最新状況を定期的に確認(「ポーリング」)する必要があります。これは効率的ではありません。Webhook や WebSocket であれば、API よりも効率的にこの操作を実行できます。

Webhook と API の比較

ほぼリアルタイムのデータ更新を必要とするシステムでは、API よりも Webhook を使用する方が望ましいでしょう。API がポーリングモードになっている場合、つまり設定された時間間隔で更新を要求している場合、リアルタイムの Webhook インタラクションと比較して低速になります。前述のとおり、Webhook は、トリガーイベントが発生するとすぐに更新をクライアントにプッシュします。

カスタマイズが必要な場合、API は Webhook よりも優れています。これは、モノのインターネット(IoT)環境など、データが極めて変動しやすいシステムの場合に当てはまります。その場合、カスタマイズされた API ポーリングを使用する方が Webhook よりも効果的です。なぜなら、API が実用的な応答を生成する可能性が高いからです。さらに、クライアントエンドポイントがオフラインになっているため Webhook によるデータプッシュが無視される場合、Webhook より API に優位性があります。Webhook には、この可能性に対処する方法が組み込まれていません。

Webhook と WebSocket の比較

Webhook は、Web アプリが外部サービスにおける変化(新たな口座取引など)を追跡する必要がある場合に効果的です。Webhook はステートレスであるため、オープン接続が必要ありません。そのため、WebSocket よりも簡単にスケーリングできます。より多くの登録者を処理できるのです。また、ステートレスであることは、Webhook の方が少しだけ管理しやすいということでもあります。

一方、WebSocket は、クライアントとサーバーの間でリアルタイムの双方向通信が必要である場合に最適です。この機能の良い例として、複数人による Web ドキュメントの同時編集が挙げられます。ドキュメントを編集する各ユーザーのブラウザーが、WebSocket を介して、ドキュメントを含むサーバーに接続されます。あるユーザーが編集を行うと、変更内容がブラウザークライアントからサーバーに渡され、次のユーザーがそれを閲覧できるようになります。WebSocket は変更をリアルタイムでリレーします。

API、Webhook、WebSocket のセキュリティに関する考慮事項

API、Webhook、WebSocket を使用する場合、堅牢なセキュリティ対策を実装することが重要です。API キーと OAuth は、API リクエストのセキュリティを確保するためによく使用される認証方法です。Webhook の場合、シークレットトークンまたは署名を使用して受信リクエストを検証することで、不正アクセスを防止できます。WebSocket では、WSS(WebSocket Secure)を使用し、適切なアクセス制御メカニズムを実装して悪性の攻撃を防ぐことで、接続のセキュリティを確保します。

さらに、HTTP リクエストと WebSocket 接続に異常なパターンがないか監視することで、DDoS 攻撃や不正なデータアクセスなど、潜在的なセキュリティ侵害を検知できます。リアルタイム通信でのデータ転送は必ず暗号化し、交換される情報の機密性と完全性を維持する必要があります。

よくあるご質問

WebSocket は、クライアントとサーバー間の継続的なリアルタイム通信を可能にする永続的な双方向接続を提供するため、ライブチャットやオンラインゲームなどのアプリケーションに最適です。一方、Rest API は要求/応答モデルを使用します。このモデルでは、クライアントはサーバーに対して繰り返しポーリングを行い、更新を求める必要があるため、リアルタイムのシナリオにおいては効率性が低くなります。

Webhook のセキュリティを確保するためには、シークレットトークンまたは署名を使用して、受信 HTTP リクエストを検証します。これにより、認証されたソースのみがシステムに通知を送信できるようになります。さらに、Webhook 通信には必ず HTTPS を使用し、データ転送を暗号化することで不正アクセスを防止します。

支払い確認や新規ユーザー登録などの特定のイベントに基づいてアプリケーションがリアルタイムの更新や通知を必要とする場合は、Webhook を使用します。Webhook は定期的なポーリングが不要で、サーバーの負荷が軽減されるため、イベントドリブン型のシナリオにおいて API よりも効率的です。

WebSocket 接続により、クライアントとサーバー間の継続的な双方向通信が可能になります。そのため、WebSocket 接続は、共同ドキュメント編集やライブストリーミングなどのリアルタイムアプリケーションに最適です。

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