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楽天株式会社

規模、技術ともに国内最高レベルの楽天市場が評価したアカマイのソリューションが支えるグローバル&ボーダーレス

テクノロジーはどんどん進化していく。それに対してエンジニアは正確に判断をして良いものを選んで開発し、ユーザーに一番いいサービスを届けることを考える。この考えに一番マッチしたのがアカマイのソリューションでした。

小林 悠輔氏 , ECマーケットプレイス開発部 モール課課長 , 楽天(肩書きなどは2016年掲載当時のもの)

概要

楽天株式会社は1997年に設立、同年スタートした「楽天市場」は日本におけるオンライン仮想商店街(インターネット・ショッピングモール)の草分けであり、日本最大の規模を誇る。楽天市場の急速な成長とともに銀行、証券、クレジットカード、通信、電子書籍などさまざまなサービスを追加して“楽天経済圏”と呼ばれる、楽天グループが提供するサービスで形作られる経済圏というビジネスモデルを作り上げた。2015年6月現在、楽天市場の店舗数は4万1000店舗超、楽天グループサービスの年間流通総額は6.4兆円に達する。さらに2008年の台湾を皮切りに、楽天市場ビジネスモデルのグローバル展開を加速している。

画像を多用したリッチな商品ページを支えるアカマイのソリューション

楽天は、日本で「インターネットで人は物を買わない」と言われた時代に「楽天市場」で市場を切り拓き、瞬く間に業績を伸ばして国内最大のインターネット・ショッピングモールに成長させた。楽天市場のショッピングページには、セールを実施する度に膨大なトラフィックが集中し、トラフィックへの対応が課題となっていた。国内最大規模のトラフィックをさばき、さらに顧客満足度を向上するためにアカマイのソリューションを導入した効果について、同社でサービスアプリケーションを担当するECマーケットプレイス開発部 モール課 課長の小林悠輔氏、楽天市場のインフラシステムを担当するECコアテクノロジー開発部 ECインフラストラクチャグループの上村良子氏、岡本達佳氏にお話を伺った。

楽天市場のWebサイト、特にショッピングページを一目見て感じるのは、画像が非常に多いリッチなページ構成になっていること。1つのページの中に多数の画像が配置されたページをスムーズに表示するには画像をキャッシュすることが不可欠となる。楽天では以前、キャッシュサーバーを社内に置いて運用していたが、あるセールのイベントで特別コンテンツを配信するページがトラフィックに耐えきれなくなったことをきっかけに、社内のキャッシュサーバーを、CDNのサービスに置き換え始めた。「2008〜2009年ごろですが、アプライアンスを使って社内でキャッシュするより、CDNを使ったほうがコストでもスピードでもメリットが大きいだろうと考えてアカマイの導入を始めました。かつては セール時には数十台も並べていたキャッシュサーバーが、いまでは一桁台にまで減っています」(上村氏)

このとき導入したのがアカマイのDSA(Dynamic Site Accelerator)だが、インフラ側だけでなくサービス開発現場に大きなメリットがあった。楽天は2012年ころからテレビCMを展開するなど大々的に宣伝活動をするようになり、ユーザー数が大きく増加した。それにより、アクセスのピークに合わせて物理的にサーバーを増やすといった対応では難しくなり、サービス開発側でもそれまでの経験をもとにした都度対応はもはや限界に達していた。「アカマイのソリューションは短時間で導入でき、かつ安定したサービスをユーザーに提供できる環境になったことがすごく大きいですね。サービス開発担当として、そういうインフラに近いところではなく、機能開発など別の新しいものに注力できるようになりました」(小林氏)。以前はセールの1カ月前には部署全員で、どこまで負荷に耐えられるかテストをしたり、ユーザーの導線を見積もって個別にセールページのチューニングをしたりしていたが、アカマイ導入後はそうした必要がなくなり、そこに投入していたリソースを本来のサービス開発に充てることができるようになったのだ。

スマホユーザーの増加やグローバル展開にも対応する画像変換ソリューション

スマートフォンの普及によって、楽天市場にアクセスする端末もPCからスマートフォンへとシフトしている。特にこの2年で大きく変化し、セール中はスマートフォンアクセスがPCを上回る状況が続いている。楽天市場はいち早くスマートフォンに対応し、ユーザーエージェントによってサービスアプリケーションを切り替え、スマートフォンに特化した機能も実装している。スマートフォンやタブレットへの対応では、オリジナルの画像データから、端末によって異なる画面サイズに合わせて画像サイズをリサイズしたりクリッピングしたりする必要があるが、そこにアカマイの画像変換ソリューションであるImage Converterを利用している。

画像リサイズについては、元々は楽天も内製をしていたのだが、メンテナンスサイクルが曖昧になったり、ソースコードをメンテナンスする人がいなくなったりするとセキュリティ対策ができなくなるといった課題があった。また、画像変換はCPUリソースを消費しがちで「いずれデータセンター1つ分ぐらい画像変換のためだけに必要になるというのが、2010年頃に想定したワーストケース」(上村氏)だった。そこで先を見据えてクラウドサービスの利用を考え、アカマイに対して楽天から強くリクエストを出し、それに応えるかたちで実装されたのがImage Converterだった。「Image Converterはキャッシュ効率が良くて、オリジナル画像と、異なるサイズそれぞれをキャッシュしてくれます」(岡本氏)。これによって楽天市場側ではオリジナル画像データだけを持てば良くなった。現在はまだ楽天側で処理している画像変換のサーバーが数百台あるが、Image Converterをフルに利用すればそれを1桁台に抑えられると見込んでいる。

スマートフォン端末への対応でもう一つ重要なのが、モバイルネットワークからのアクセスへの対応だ。ここにはアカマイの画像圧縮ソリューションであるAIC(Adaptive Image Compression)で対応している。AICはモバイルネットワークの遅延を監視し、JPEGなど画像のデータサイズを動的に変更するソリューションだ。このAICは日本ほど回線品質の良くない海外地域でも有効に機能する。また、この機能の採用にあわせて、最上位製品であるIon Premierへアップグレードを行った。

楽天市場は日本以外でも自社展開や買収などによってマーケットプレイスのグローバル展開を進めており、台湾、イギリスやスペインのマーケットプレイスは、日本に置いたサーバーから世界に向けてサービスを行っている。海外から日本サーバーへアクセスしたときの遅延を防ぐため、グローバル展開当初からアカマイのCDNソリューションを導入した。海外でも日本と同様、スマートフォンでの利用が増える傾向で、少しでもユーザー側からのアクセスを速くするため、アカマイのFast DNSと合わせてAICを利用している。

常駐エンジニアとのコラボレーションで支えた楽天イーグルス優勝セール

2013年秋、東北楽天ゴールデンイーグルスがパシフィック・リーグで初優勝し、日本シリーズも制して日本一となった。このときに楽天市場で実施する優勝セールには、それまでにないトラフィックが殺到すると予想された。これを乗り越えたのが、楽天市場スタッフと、楽天に常駐しているアカマイのエンジニアによるコラボレーションだった。タイミング良く優勝セールの1年前、2012年秋に楽天とアカマイはテクノロジーパートナーシップを結び、アカマイの日本法人としては初めてエンジニアを常駐させていた。これによって現場レベルで互いのサービス内容への知識や理解が深まっていた。「9月のリーグ優勝のときはトラフィックが想定を超えてしまったのですが、クライマックスシリーズや日本シリーズでは、9月の反省をもとにアカマイと対策を練り、テクノロジーパートナーシップでお互い貯めてきた知識と経験によって無事に日本シリーズ優勝セールを終えることができました。」(上村氏)。

このほか楽天市場では、データセンターのリプレイスや統合の際に、アカマイが持つデータセンター間のトラフィック負荷分散サービスであるGTM(Global Traffic Manager)も利用している。「新しいデータセンターは、機種が違ったりネットワーク業者が違ったりして一定期間は安定しないものなのです。そのため、GTMを導入して新データセンターにトラフィックを流しながらも、もし問題が起きたら旧データセンターに戻すという、サイトの安定性向上のために使っています」(上村氏)。データセンターは新しいものほど効率的で安いのが一般的ということだが、サービス提供側から見れば安定して動いているものは変えたくないというのも事実。データセンター更新によるトラブルのリスクを最小限に抑えられるGTMの存在価値は大きいと言える。

さらに、楽天が一般的なユーザー企業と異なるのはアカマイのAPIを積極的に活用していることだ。岡本氏はアカマイの技術カンファレンス「Akamai Edge 2014」に参加してAPIのワークショップに参加した。「API経由でトラフィックのデータを取得する方法や、アカマイのプロパティマネージャーの設定変更をAPIで行う方法などを教えてもらいました。それを使って社内向けにトラフィックレベルやトレンドを共有するツールを作っています」(岡本氏)。国内のアカマイユーザーは多いが、ここまで技術レベルの高いユーザーは少なく、国内の技術者向けのセミナーなどでは楽天とそれ以外のユーザーの差がありすぎて困るほどだという。

今後楽天では、リダイレクト処理をアカマイのクラウドシステムで処理するEdge Redirectorの導入テストを進めている。Edge Redirectorの機能利用だけではなく、そのAPIを利用したツールを開発し、オペレーションの自動化までを計画している。近年アカマイはAPIを次々リリースしているがそれを利用することによってOPEXの削減が実現できるのがユーザにはメリットが大きい。

「テクノロジーはどんどん進化していく。それに対してエンジニアは正確に判断をして良いものを選んで開発し、ユーザーに一番いいサービスを届けることを考える。この考えに一番マッチしたのがアカマイのソリューションでした。今後さらなる海外展開を進めるためにも、私たちはフロントのサービスに特化して、より洗練させていくためのチャレンジを一緒にしてくれる人を仲間として増やしていきたいですね」(小林氏)