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インターネットの未来を保護する:Akamaiが実現したエンドツーエンドPQC

August 19, 2026 by Tim Daffron

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量子コンピューティングの急速な発展により、従来のデータ保護の前提が根本から問われています。こうした危機感の中、Akamai は 2026 年 8 月 12 日、Enhanced TLS ネットワーク全体でエンドツーエンドのポスト量子暗号(PQC: Post-quantum cryptography、耐量子暗号とも)を一般公開(GA)しました。本記事では、この通信経路全体を保護する PQC 移行の仕組みとアプローチについてまとめました。本記事を通じて、クライアントからエッジ、ミッドティア、そしてお客様のオリジンに至るまで、データを次世代の脅威からどのように守るべきかを解説します。

なお、GA 開始直後の 2 分間で Akamai は 4 億 5,000 万件以上の PQC 接続を観測し、ある大手フィンテック企業のお客様は即座に99.4%の量子耐性を達成しました。

顧客への影響
顧客への影響

なぜ今すぐ対応すべきなのか:「Harvest now, decrypt later」の脅威

この移行を急ぐ理由は、「harvest now, decrypt later(今すぐ収集し、後で解読する)」と呼ばれる明確かつ差し迫った脅威が存在するためです。今日、高い能力を持つ攻撃者は、暗号学的に意味を持つ量子コンピューターが現実のものとなった際に解読することを目的として、暗号化されたデータを収集し続けています。

RSA や楕円曲線ディフィー・ヘルマン(ECDH: Elliptic-Curve Diffie–Hellman)鍵共有などで使われる従来の非対称暗号は、Shor のアルゴリズム(数学者のShorが考案した量子アルゴリズム)に対して脆弱です。このアルゴリズムを使えば、量子コンピューターは従来のシステムより飛躍的に高速に、大きな整数を素因数分解できる可能性があります。量子コンピューターがこれらの標準暗号を破る「Q-Day」はまだ数年先かもしれませんが、長期にわたって価値を持つデータは、今この瞬間も危険にさらされています。今すぐ PQC を実装することで、現在のセッションを保護している鍵交換を、今後数十年にわたり安全に維持できるようになります。

PQC 実装におけるハイブリッドアプローチの利点

Akamai は、米国国立標準技術研究所(NIST)およびインターネット技術タスクフォース(IETF)の標準に準拠し、ハイブリッド方式のポスト量子鍵合意を展開しています。具体的には、(IETF が発行準備中の)ドラフトで定義された X25519MLKEM768 ハイブリッドメカニズムを使用しています。

  • ハイブリッドの強み: 従来の X25519 楕円曲線鍵交換と、NIST が標準化したモジュール格子ベースの鍵カプセル化メカニズム(ML-KEM)を組み合わせることで、高い暗号強度を生み出しています。

  • 後方互換性:まだ PQC に対応していないクライアントやオリジンであっても、中断することなく安全な従来の TLS 1.3 接続をネゴシエートできます。

  • FIPS 準拠:インフラを連邦情報処理標準(FIPS)140-3 に引き上げることで、ミッドティアの通信(G2Gトラフィック)が FIPS 準拠と量子耐性を同時に満たすようにしています。

配信経路全体でのエンドツーエンド保護


エンドツーエンドの耐性を実現するには、Akamai の配信経路における 3 つの異なる通信区間をアップグレードする必要がありました(以下、表)。

通信区間ステータスお客様側の設定
Client-to-AkamaiGA(2026年8月)Enhanced TLS ネットワーク内でデフォルトで有効。Property Manager でオプトアウト可能
Akamai-to-AkamaiGA(2026年8月)デフォルトで有効。お客様側での操作は不要。
Akamai-to-originGA(2026年6月)お客様によるオプトインが必要。TLS 1.3 ハイブリッドハンドシェイクをサポート(※将来的にはデフォルトで有効になる予定)。

エンドツーエンドの耐性を実現するためにアップグレードされた Akamai の配信経路における 3 つの通信区間

PQC の次なる焦点:認証とネットワークの拡張

通信経路のセキュリティにおける今回の成果は非常に大きなものですが、私たちは歩みを止めることはありません。2026 年以降のロードマップには以下が含まれます。

  • ポスト量子認証:次の重要領域である「デジタル署名の保護」へと移行しています。量子耐性を維持しつつ証明書のサイズを抑えるため、ML-DSAマークルツリー証明書(Merkle Tree Certificates)の導入を積極的に進めています。

  • 2030年の期限:量子セーフ(耐量子)な署名に向けた国際的な移行期限を 2030 年として加速する中、Akamai プラットフォームが確実に量子セーフとなるよう注力しています。

量子セーフなインターネットへの移行は、短距離走ではなく長期戦の取り組みです。私たちは、企業や政府機関、金融業界のお客様に対し、このような高度な保護を「デフォルト」として提供できる取り組みを業界に先駆けて進めていることを誇りに思います。

PQC の有効化に関する詳細は、Akamai のアカウント担当者までお問い合わせいただくか、技術ドキュメントをご覧ください。また、PQC シリーズの最新のブログ記事もぜひご確認ください。

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