Brent Maynard
Brent Maynard is the Senior Director, Security Technology and Strategy at Akamai.
グローバルなクラウドインフラを使用して迅速に展開できます。想定外のコストもなく、ロックインも発生せず、すべてのデータセンターに適用される透明性の高い価格設定となっています。
* プロモーションの引き換えに関する規則と条件をご覧ください
Akamaiと提携して、イノベーションを起こし、拡張し、優位性を拡大する
ユーザーに代わって商品を購入し、予約を取り、ログインするサイレントエージェントが、自らの正体を明かさないままサイトにアクセスするようになっています。こうしたエージェントを一律にブロックすれば、顧客を一人失うことになります。一方、無条件に許可すれば、深刻なセキュリティリスクを招きかねません。このブログ記事では、第3の選択肢である「選択的なアクション制御」について解説します。
エージェントを許可するか、それとも拒否するか。AIエージェントによるトラフィックをめぐる問題の多くは、企業がこの問いに対する答えをサイト全体に一律に適用していることに起因します。ほとんどの企業は、サイトのあらゆる場面で「許可」か「拒否」のどちらか一方を選ぶべきではありません。
選択的なアクション制御は、一律にブロックまたは許可するよりも優れたアプローチです。選択的なアクション制御により、以下が可能になります。
すでに自社サイトにアクセスしているAIエージェントを把握する
自社が許容する利用の定義に基づいてポリシーを設定する
検証を許可の条件とする
エージェントのアイデンティティを確認する仕組みが整うまで、サイトの閲覧を妨げない
サイレントエージェントとは、検証可能なエージェントアイデンティティを提示せず、一般的なブラウザーや顧客のセッションを通じて動作する自動化プログラムです。顧客に代わって動作している正当なアシスタントである場合もあれば、与えられた権限を超えて動作する未承認のエージェントや、エージェントを模倣する悪性の自動化プログラムである場合もあります。
人間による操作と自動化された操作が同一の認証済みセッション内で行われた場合、両者を見分けることはさらに困難になります。エージェントが明示的に識別されない以上、企業はふるまいパターンや技術的なシグナルに頼らざるを得ませんが、それによって必ずしも全貌を把握できるとは限らず、次のような限界があります。それは、正当なエージェントへの対応を優先して検知基準を緩めれば、悪性の自動化プログラムを受け入れてしまうリスクがある一方で、検知基準を厳しくすれば、顧客が承認した正当な操作までブロックしてしまう恐れがあるということです。
サイレントエージェントであるMeta MuseとInstinctは、現在このような仕組みで動作しています。OpenAIのdotsは、状況をさらに複雑にしています。クラウド上では署名付きで動作しますが、顧客自身のコンピューターに切り替えて動作する場合はサイレントになります。OpenAIは顧客に対し、「Webサイトがクラウドブラウザーをブロックした場合は、接続済みのコンピューターを使って再試行するようにdotに指示する」ように案内しています。ここに課題があります。エージェントがリクエストに署名しない場合、実在する顧客に代わってスニーカーを購入するショッピングエージェントと、実在する顧客になりすました転売業者のボットは、見分けがつかないほどよく似た挙動を示すことがあります。
エージェントエコシステムは急速に進化しており、企業もいち早くその動向に注目しました。MetaがAmazonをエージェントの対象から外すことを拒否したため、Amazonは9月20日、Museによる自社ストアへのアクセスを遮断しました。Amazonは、Museが自身をエージェントとして識別せず、顧客の認証情報を保存しているように見えたと説明しています。JPMorganは10月13日、外部エージェントによる顧客アカウントへのアクセスをブロックしました。Citi、Schwab、Bank of Americaも、同じ週に同様の措置を講じました。
Axiosは、銀行各社は顧客アカウント内でサードパーティ製エージェントの存在を確認しており、その一部は顧客の指示を超えた操作を行っているようだと報じています。一方、小売企業は別の問題に直面しています。エージェントを使った購入手続きが完了できないという顧客からの苦情です。その多くは、特定のエージェントを意図的にブロックした結果ではなく、ボット対策システムがそのアクセスを自動化によるものと判定したことが原因です。
これまでの対応は、大きく次の2つに分けられます。
ログイン時や資金移動時に、エージェントを全面的にブロックする
読み取り専用のアクセスを提供し、エージェントによるアカウント情報の閲覧は認める一方、操作は許可しない
どちらも当面の対応策としては妥当です。しかし、いずれも戦略とは言えません。なぜなら、どちらも「許可するか、拒否するか」という二者択一の問いに答えているにすぎないからです。本当に問うべきなのは、エージェントにどの操作を許可すべきかということです。
当社の見解は、自動化されたトラフィックへの対応は、「エージェント」という言葉が当てはまるかどうかではなく、何を目的としてアクセスしているのか、また、サイト側がその正当性をどこまで検証できるのかに基づいて判断すべきだというものです。そのためには、次の3つの要素が順に必要となります。
可視性:エージェントによるトラフィックを一括りにするのではなく、その目的ごとに分類して把握する
知見:自らエージェントであることを申告したものと、そのふるまいからエージェントと推定されたものを区別し、把握する
選択的なアクション制御:エージェントによる商品カタログの閲覧を許可しながら、決済の試行については、その都度、自動化に伴うリスクを評価する
ここから、4つの重要な指針が導き出されます。その詳細は、この記事の最後で解説します。すでに自社サイトにアクセスしているエージェントを把握すること、サイト全体ではなくエンドポイントごとに判断すること、検証を許可の条件とすること、そして、業界全体でエージェントのアイデンティティを確認する仕組みが整うまで、サイトの閲覧を妨げないことです。
ボット管理の歴史の大半において、受け入れる価値のある自動化プログラムは、自らを識別できる情報を公開していました。検索クローラーは、User-Agent情報やIPアドレスの範囲を公開していました。例えば、サイト運営者はGooglebotの情報を照合し、匿名のスクレイパーとは異なる扱いをすることができました。この仕組みが機能していたのは、ボットオペレーター自身が、自らを認識してもらうことを望んでいたからです。
しかし、一般消費者向けのエージェントの登場により、この仕組みは意図せず崩れることになりました。これらのエージェントは、人間と同じ方法でWebを利用するように設計されています。そのため、ブラウザーを操作し、ページを次々と移動してクリックし、フォームに入力するなど、人間と同じようにWeb上の操作や障壁への対処を行います。
Muse:Metaのクラウド上にある、ブラウザーを内蔵した仮想マシンを使って動作します。
Instinct:常時稼働するクラウドデスクトップを保持し、メールアドレスや決済情報を含む、ユーザーが保存した認証情報を使って操作を行います。
Dots:OpenAIのクラウドエージェントとして動作します。
サーバー側から見ると、これらはいずれもブラウザーセッションです。User-Agent文字列が示すのはブラウザー、実際のふるまいが示すのは自動化された操作です。
エージェントは、顧客から提供された認証情報を使用して、正当にセッションに参加しています。リクエストの内容にも、矛盾を示すものは何もありません。
これは、そのセッションの先に何があるかを考えると重要な問題です。エージェントが商品カタログを閲覧するだけなら、問題はせいぜいプライバシーに関するものです。しかし、エージェントが顧客の認証情報を使ってログインしたとなると、違う話です。Instinctの利用規約では、法的拘束力を伴う取引において、同サービスがユーザーの代理を務めることが定められています。また、同社のプライバシー通知では、意図しない支払いや、隠された指示による操作が、サービス利用に伴うリスクとして挙げられています。初期テスターは、実際にこの両方の事例を記録しています。あるテスターはメールに指示を埋め込み、エージェントがその指示に従うことを確認しました。また別のテスターは、自分の承認なしにエージェントが自分の代わりにメールを送信したと報告しています。
したがって、銀行が「アカウント内で行われた操作が、顧客本人の指示によるものかどうかを判別できない」と述べるとき、それは実際に存在する根本的な課題を指しています。検知システムに投資すれば解決できるという類の問題ではありません。エージェントは、顧客から提供された認証情報を使用して、正当にセッションに参加しています。リクエストの内容にも、矛盾を示すものは何もありません。
問題は、エージェントが銀行業務に関わる場合とコマースに関わる場合とで、大きく2つのパターンに分かれます。
銀行業界で懸念されているのは、認証済みセッション内でエージェントが行う操作です。Axiosは、米国の大手銀行は、顧客アカウント内でサードパーティ製エージェントが活動していることを検知しており、その一部は顧客の依頼内容を超える操作を行っているようだと報じています。10月中旬以降、各銀行が公表している方針には一貫した傾向が見られます。
JPMorgan:個人向けアカウントへの外部エージェントのアクセスを認めない方針です。
Citi:外部エージェントによるアクセスを制限しています。
Schwab:顧客資金を移動させようとするエージェントの操作を阻止するとしています。
Bank of America:アカウントから資金を移動する際には、人間による承認を必須としています。
Chase:顧客に対し、認証情報を第三者に渡さないよう注意を促しています。
複数の銀行が、妥協策として読み取り専用アクセスへの移行を進めています。
自律型AIエージェントをめぐる現在の動向は、金融アカウントのアグリゲーションの黎明期とよく似ています。消費者の需要に後押しされ、無秩序かつ未承認のUIスクレイピングが横行し、最終的には、プラットフォーム側も当初の積極的な拒絶姿勢から、標準化されたプロトコルの導入へと移行せざるを得なくなったという流れです。2010年代には、Plaid、Yodlee、Mintなどのアグリゲーターは、ユーザーの認証情報を収集し、人間によるブラウザーセッションを模倣するヘッドレススクリプトを起動して、データをスクレイピングし、セキュリティチェックを回避することで、銀行APIが利用できないという制約を乗り越えていました。
今日、自律型ボットやエージェントも、まったく同じ手法を用いています。
コマース分野で懸念されているのは、顧客が購入手続きを完了できないという問題です。Amazonは9月にMuseをブロックし、現在では、エージェントが顧客のアカウントを使って商品を購入しようとした際に、顧客本人に通知しています。TechCrunchの報道では、エージェントによるアクセスが拒否されたと利用者が報告しているサイトとして、Yelp、eBay、Zillow、Pizza Hut、Adidasのほか、複数の航空会社が挙げられています。それが意図的なポリシーによる結果である場合もあります。一方、既存のボット対策機能が自動購入の動作を検知し、本来設計されたとおりに対処しているケースもあります。
銀行業界とコマース業界の双方に共通する背景には、こうしたエージェントが登場する以前から、すでに大規模なトラフィックが存在していたという事実があります。Akamaiの2026年7月「インターネットの現状」レポートによると、2025年7月から12月までの期間に、Akamaiのグローバルネットワーク全体で発生したAIボットトラフィックのほぼ半分(47.9%)がコマース分野に集中していました。また、コマース関連企業では、AIボットの活動の90%以上を「監視のみ」のカテゴリーに分類しており、残りの活動についても、およそ4分の3を制限なしで許可していたことが明らかになりました。
つまり、多くの企業は、エージェントが決済ボタンに手を伸ばし始めるずっと前から、AIトラフィックを監視するにとどまり、積極的な制御を行っていなかったのです。
すべてのエージェントをブロックすることは、最も手っ取り早く、社内でその判断を最も簡単に正当化できます。ログイン時や資金移動に関しては、少なくとも現時点では、ブロックすることが最も適切なセキュリティ上の判断である場合もあります。 しかし、これをサイト全体に適用すると、もはやセキュリティ上の判断ではなく、ビジネス上の判断になってしまいます。エージェントは、商品を購入したい顧客の代理として動作しています。そして、ブロックの影響を受けるのは、その顧客だからです。ブロックに遭遇した顧客は、エージェントの認証情報を改善する必要があるとは考えません。別の、問題なく利用できるサイトに移るだけです。
読み取り専用アクセスは、より慎重に検討された対応策であり、より妥当です。しかし、見た目ほど広範な問題に対応できるわけではありません。あるシステムで情報を読み取った後、エージェントが別のシステムでその情報に基づいて操作を行う場合、読み取り自体にリスクがないとは言えません。また、予約、スケジュールの変更、住所変更、特典の利用など、価値のある操作は数多くあり、そのいずれも単なる情報の読み取りや資金移動には当たりません。読み取り専用アクセスは、ポリシーを確立するかわりに、その判断を先送りするための時間を稼ぐにすぎません。
エージェントを許可するか否かを問うのではなく、どのアクションを許可するかを決めるべき時です。
3つ目の対応策、つまり、エージェントが識別されたという理由でアクセスを許可する方法は、実は最も大きなリスクを暗黙のうちに抱えています。現在、識別は主に「シグネチャ」との照合によって行われています。シグネチャとは、既知のエージェントが通常生成するヘッダー、フィンガープリント、ふるまいなどのパターンのことです。シグネチャは模倣できます。特定のシグネチャを根拠に例外を認めれば、そのシグネチャを十分に模倣できるものにも同じ例外が適用されてしまいます。そして、ショッピングエージェントを最も積極的に模倣しようとするトラフィックこそ、新製品の発売時に小売企業が決済段階で最も排除したいトラフィックなのです。
これが落とし穴です。一律にブロックすれば収益を失い、一律に許可すれば、同じ外見を装った次の模倣者にも例外を与えることになります。読み取り専用にすれば、判断を先送りするだけです。エージェントを許可するか否かを問うのではなく、どのアクションを許可するかを決めるべき時です。
「AIボット」という単一のカテゴリーでは、適切なポリシーを定めることはできません。なぜなら、そのカテゴリーに含まれるトラフィックは、それぞれ相反する目的を持っているからです。モデルの学習用に商品説明を収集するクローラー、AIによる回答に自社ブランドが表示されるようにサイトをインデックス化する検索クローラー、そして顧客からの質問に答えるために特定のページを取得するアシスタントの3つは、本質的に異なるトランザクションです。
2026年8月、Akamai Bot Directoryでは、このカテゴリーを次の3つに分類しました。
AI学習用クローラー:モデルの学習を目的として、大量のコンテンツを収集する(例:GPTBot、ClaudeBot、Meta-ExternalAgent)。
AI検索クローラー:AI検索や出典の引用に使用するため、サイトをインデックス化する(例:OAI-SearchBot、Claude-SearchBot、PerplexityBot)。
AIフェッチャーおよびエージェント:質問への回答やタスクの遂行のため、リアルタイムでページにアクセスする(例:ChatGPT-User、ChatGPTエージェント、GoogleAgent-Mariner、およびサイレントエージェントと推定されるもの)。
この分類により、企業は、本来なら互いに相反するアクションを、より細かく制御できるようになります。自社が利用許諾を与えていないコンテンツを保護するために学習用クローラーを制限する一方、AIによる回答に自社コンテンツが表示され続けるよう、検索クローラーは受け入れ、リアルタイムエージェントについては、通常は顧客の依頼に基づくトラフィックとして扱うといったように、カテゴリーごとに個別のポリシーを設定できるようになります。
可視性の対象は、商品カタログだけにとどまりません。銀行が懸念しているのは閲覧ではなく、ログイン済みのセッション内での活動です。認証済みセッションにおけるエージェント活動の監視とコンテンツページ上の活動の追跡は、それぞれ異なる側面を捉えます。企業が自社のリスクを把握し、管理を始めるには、この両方の視点が必要です。
カテゴリーによって、どのようなトラフィックが到着したかが分かります。次に確認すべきなのは、各エージェントについて、何を根拠にその正体を把握しているのかという点です。その答えは、大きく2つに分かれます。
一部のエージェントは、検証可能な方法で自らの身元を申告します。公開鍵を提示し、リクエストに署名するため、申告をそのまま信頼するのではなく、エッジで検証することができます。このようなエージェントは「既知のエージェント」として扱われます。既知のエージェントには、決済時も含め、個別のポリシーを適用できます。なぜなら、その識別が、第三者によってコピー可能な情報に依存していないからです。
それ以外のエージェントは、すべて推測に基づきます。観測された特徴からエージェントを特定し、「suspected」(推定)として分類します。そのため、レポートには確定したアイデンティティではなく、「Muse Agent (suspected)」といった項目が表示されます。このラベルは非常に有用です。エージェントがサイトにアクセスしていること、そのトラフィックがどの程度の量か、そしてサイト内のどこにアクセスしているかが分かります。しかし、同じパターンを示す次のリクエストが、同じエージェントから送られたものだと保証するものではありません。それが保証されるかのようなポリシーを定めれば、最終的に、意図していなかった対象にまでアクセスを許可してしまうことになります。
エージェントの帰属先を特定できない場合に残されるのが、ふるまいによるリスクスコアリングです。そして、エージェントが偽装技術を使っている場合でも機能するのが、この制御手法です。エージェントが自己申告している正体ではなく、セッション内でどのような動きをしているかを分析することで、ブラウザーを装うエージェントや、買い物客を装う転売ボットに対しても有効に機能します。
正当なエージェントが決済時にブロックされることがあるのも、このためです。これは、システムが設計どおりに機能した結果です。エージェントが認証を受けられるようになるまでは、正当なエージェントによるトラフィックの一部も「未検証」のカテゴリーに分類されます。
セキュリティチームにとって、実務上重要なのは、「カテゴリー/ラベル」と「ふるまい」の2つのシグナルを組み合わせて判断することです。カテゴリーとラベルからは、どのようなエージェントが、どの程度の量でアクセスしているかが分かります。ふるまいからは、そのセッションが現在どのような動きをしているかが分かります。どちらか一方だけでは、ポリシーを定めるには不十分です。
商品カタログのページと決済ページでは、伴うリスクが異なります。顧客のために商品説明を読み取るエージェントが行っていることは、従来のブラウザーが当たり前に行ってきたことと変わりません。企業は通常、こうしたトラフィックを歓迎します。売上につながり、AIアシスタントが商品やサービスを見つけるための新たな経路になりつつあるからです。
しかし、同じエージェントが注文を送信すれば、在庫や資金を動かす処理を行うことになります。他の自動化された処理と同様、これには慎重な審査が必要です。ログインの位置づけは、商品カタログよりも決済に近くなります。アカウント情報を変更する操作も同様です。
選択的なアクション制御は具体的に次の3つを意味します。
コンテンツに対するポリシー:ほとんどのAIトラフィックを監視または許可する
トランザクションに対するポリシー:エージェントが自らを何者と申告しているかにかかわらず、すべてのリクエストについて、自動化によるアクセスかどうかをスコア化する
認証に対するポリシー: セッションが自動化されているかどうかではなく、その背後にいる人物がアカウントの所有者であるか、また、その操作が正当なものと認められるかどうかを判断する
このように設定すれば、多くの小売企業がすでに経験している状況と同じ結果になります。つまり、エージェントは顧客に代わって商品カタログを閲覧できますが、購入しようとすると阻止されます。これにより、商品を見つけるための経路を確保しながら、金銭が動く場面では既存の制御策を適用できます。また、サイト全体のポリシーを見直すことなく、個々のエンドポイントについて企業の判断を変更することも可能です。
この考え方は、最もよく寄せられる、「特定のエージェントに購入を完了させるにはどうすればよいか」という質問にも答えます。有効なのは、シグネチャに基づいて例外を認めることではありません。そのシグネチャを模倣するものにも、同じ例外が適用されてしまうからです。有効なのは、認証と検証です。エージェントが自らの身元を証明できれば、決済時を含め、そのエージェントに独自のポリシーを適用できるようになります。企業は、単なるパターンではなく、身元が検証された主体に対してアクセスを許可できるようになります。
この問題のあらゆる側面には、共通する一つの欠落要素があります。エージェントは、自らの身元や、誰のために動作しているのかを証明できません。そのため、サイト側は推測に頼らざるを得ませんが、推測だけでは企業が意図する判断を支えることはできません。
その欠落を埋める仕組みが、現在構築されつつあります。Web Bot Authは当社も支持しているInternet Engineering Task Force(IETF)のドラフト仕様です。エージェントがリクエストに署名できるようにすることで、サイトはヘッダー情報をそのまま信頼するのではなく、暗号技術を用いてリクエストの送信元を検証できるようになります。
VisaのTrusted Agent Protocolは、同様の署名方式を決済分野に応用したものです。当社はこのプロトコルを統合し、加盟店がエージェントによる閲覧と決済を区別するとともに、そのエージェントがどの消費者を代理しているのかを確認できるようにしました。Skyfireの「Know Your Agent」は、エージェントを認証済みの組織またはユーザーに結び付けるアイデンティティレイヤーを提供します。当社はこれと併せて、Experian Agent Trustエコシステムにも参画しました。2026年6月、当社はこれらの要素を統合し、 アイデンティティ、可観測性、信頼、エッジでの制御を網羅するエージェント向けセキュリティフレームワークを構築しました。
エージェントのオペレーターにも、果たすべき役割があります。Akamaiに登録すれば、オペレーターはトラフィックの検証を受けることができます。これにより、推測に基づくシグネチャを、マーチャントがポリシーの適用対象として指定できる、身元を申告したエージェントのアイデンティティ情報へと変えることができます。現在、決済時にブロックされているエージェントの大半は、まだこの検証を完了していないエージェントです。サイレントエージェントは、この検証が完了するまではアクセスを許可することができません。
この取り組みはまだ進行中であり、その間も企業は自社サイトの運営を続けなければなりません。そのため、現時点ではアクションごとに制御し、エージェントのアイデンティティ確認の仕組みが整うにつれて、許可できる範囲を広げていく必要があります。すでに決済のコンテンツとログインを分けて管理している企業であれば、検証の仕組みが自社のエッジに導入された段階で、身元が確認されたエージェントを許可できるようにできます。一方、「すべてブロック」か「すべて許可」かという二者択一でまだ判断に迷っている企業は、ゼロから取り組みを始めることになります。
今すぐ実行できる4つのステップは以下の通りです。
すでに自社サイトにアクセスしているAIエージェントを把握する
エンドポイントごとにポリシーを設定する
検証を許可の条件とする
エージェントのアイデンティティを確認する仕組みが整うまで、サイトの閲覧を妨げない
AIトラフィックをカテゴリー別に抽出し、コンテンツページ、ログイン画面、決済画面、アカウント情報の変更ページなど、どこにアクセスしているかを把握します。多くのチームは、トラフィックの量の多さだけでなく、その多くが明確な判断を伴わないまま監視され続けていることに驚きます。測定していないトラフィックに対して、ポリシーを定めることはできません。
閲覧、取引、認証済みセッションについて、それぞれ個別に判断します。この3つすべてに同じ判断を適用するのであれば、それは従来の設定をそのまま引き継いだ結果ではなく、検討したうえで導き出した結論であるべきです。
パートナーやエージェントオペレーターから決済時のアクセス許可を求められた場合、シグネチャに基づく例外を認めるのではなく、登録とアイデンティティの確認を求めるべきです。エージェントオペレーターには、登録手続きを案内してください。特定のパターンに基づいて設定した例外は、そのパターンを模倣できるあらゆるものにも適用されてしまいます。
実際の顧客に代わって動作するエージェントは、企業の商品やサービスを見つけるための新たな経路として、ますます重要になっています。こうしたエージェントを締め出すことで生じる代償は、セキュリティインシデントではなく、売上の損失という形で現れます。資金が動く場面では管理を徹底する一方、商品カタログには引き続きアクセスできるようにしておきます。
この課題にうまく対処できる企業は、どのエージェントを信頼すべきかを正しく見極めた企業ではありません。どのようなトラフィックが到着しているかを把握し、そのうちどの程度を検証できるかを理解したうえで、他のエンドポイントに影響を与えることなく、個々のエンドポイントに対して適切な措置を講じることができる企業です。
現在のAIトラフィックのカテゴリーや取引に関するポリシーについて相談するには、Akamaiの専門家にお問い合わせください 。
Brent Maynard is the Senior Director, Security Technology and Strategy at Akamai.